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  覚 悟 3  (波島陽子)

波島陽子

波島陽子が芸能生活を始めて32年になりました。
30周年記念の舞台はご存知のように浅草公会堂でその盛況ぶりは話題となりましたね。

一番嬉しかったのは、同じ舞踊家さんが沢山観に来てくださったことです。
それは、その後のお手紙やメール、また振付作品(DVD)のご注文の多さで分かります。

「これほど美しい舞をみたのはどのくらいぶりでしょうか!?」
パンフレットに、「心で舞う」・・・とか、「舞の美しさに魅せられて」とありましたがまさにそ
の通りでしたね・・・・等々数えきれない称賛の声。

昨年秋に頂いたお手紙には、「お弟子さんに陽子先生の作品を踊らせましたので是非
見てください・・・」と金沢からDVDが同封されていました。
ご自分のお弟子さんの映像を送られた先生は公演後この春までに7名ほどいらっしゃい
ました。  それだけで十分です。
私はその都度波島教室のお弟子さんにその話をして来ました。
それは、教室の生徒さんがキチンと師匠の意を継いで踊れていることへの称賛を込めて
です。

確かに、全国から戴くご意見でもうひとつ共通している言葉が、「浅草で、陽子先生から
直接お稽古して頂ける生徒さんがうらやましい・・・・」との声です。

ご存知のように、いろんなことがあって日本舞踊は衰退がささやかれております。
生徒さんもどんどんその数を減らし「発表会」どころではなくなっているのが現状です。
費用もかかる関係でそれぞれ別の踊りの会が寄り合って合同で「発表会」を開催して
いるのはもう決して珍しくない現実となりました。

しかし、驚くのは今の波島陽子日本舞踊教室の隆盛ぶりです!!
今年に入ってすでに12名の新人さんが入会され日々お稽古を楽しんでおります。

私に届く新人さんからのメールは、「楽しくって仕方がない」が殆どです。
昨日8才の坊やがお母さんに連れられて体験にやってこられました。
入会希望体験で「一番動ける体験者ですね・・・・」と波島。
私もお母さんの隣でその体験風景を観ながら・・・・「えっ!なになに・・・・?」
「凄い凄い・・・」の連発 !!!
8才のボクは小学校へ上がる前から歌舞伎や大衆演劇、時代劇が大好きなんだそう
です!!!?

それで、現在は「大衆演劇を将来やりたい・・・・」とのことで日本舞踊教室を探されて
いたとか!?

「どうして波島教室を選ばれましたか!?・・・」との質問に、大衆演劇を見に行って「将
来僕は大衆演劇をやりたい・・・」と言ったら「それではどこかでしっかり日本舞踊を習って
からいらっしゃい」・・・と座長さんに言われ波島教室を紹介されたそうです。
正直、素直に嬉しかったですね。「そうですか、劇団の方が・・・」

実際に大衆演劇に出演していた人ももう一度基礎から勉強したいと入って来てもう
かれこれ8年が過ぎようとしているお弟子さんもいます。
また、中学の美少年も同じく他の大衆演劇をやっていながら密かに波島教室へ通い
ました。

私は、波島の何がそんなに違うのだろうか・・・!?と本当にいろいろ考えました。
行き着いたのが「心で踊る(表現)」ということに尽きましたね。

何年か経ってこんなふうにまとめることも出来ました。

「優しい心、想いやる心、敬う心、感謝できる心  そうした、人としての優しさに羽織らせ
たいのがお着物だと言います。  日本舞踊は、心で舞ってこその伝統芸だからです。
波島が作品を創るとき、生徒さんに教えるときのこだわりです」
・・・と。

人間、本性はすぐに出るものです。
学校の先生でも、クラブの監督でも、会社の上司でも、かなり感情的になって怒る人物
を見かけますが波島陽子にそれは皆無です。
つまり、指導力が無い・・・・、自分の思うようにいかないで怒る人が殆どです。
そうかと思うとこれはパワハラにも関係するのですが、「威張る」人・上司をときどき見かけ
ることがありますが、「自分は偉い」と錯覚しているんでしょうね!
踊り用品店でもその光景を目にすることがあります。
つまり、お師匠さんがお弟子さんを連れてお店にいるときに遭遇するシーンです。

どうみても威張っている振る舞いは手に取るように判ります。
よく見ているとその生徒さんの殆どは中年かご年配の方です。
それでなくとも日本舞踊界はお金がかかると思われているのにあの姿やその噂が
現在の衰退につながっているんだろうなと容易に想像できますね。

波島教室だけが素晴らしいなどと思っていません。
第一、多くのお褒めの言葉等を頂いても、本当に波島は謙虚であるからです。
「いいえ!私などまだまだ足元にも及ばない先輩ばかりです・・・・」と。

お弟子さんを連れ発表会の写真撮りの時でした。
ご存知のように、着物をきちんと着用しようとすれば「髪結い」や「着付け」、ましてスタ
ジオでの撮影はそのスタジオ代からカメラマンの撮影費ととんでもない費用がかかる
ものです。
でも、波島はそれをお弟子さんに散財させません。 最後は食事に至るまで。
かと言って多くの月謝を頂いている訳ではありません(当時弟子は無料でした!!)
求めはしませんが、せめて感謝できる心を養って欲しいと思うのは間違っているでしょ
うか!?
求めている訳ではもなく恩にきせている訳でもありませんが、人として感謝できる人間
になって欲しいと願わずにはおられません。
しかし、言わなければ分からない、言われると素直になれない人間っているものです。

私は初めて販売店の店長を任されたとき、どうすることが会社のためになるのか、
あるいは店員の皆さんの成長につながるか思い悩んだことがあります。
まだまだ20歳代前半の出来事でした。
悩みに悩んでこんなアンケートをとりました。 「みんなはどこか他のどんなお店でも
良いから①こんな応対されたら嫌だった・・・・、②あの応対でとても嬉しかった・・・とい
う体験を書けるだけ書き出して欲しい・・・」と。
その回答は驚くほど多いものでした。

結果、「それではみんなが経験して嫌だった応対だけは我々は絶対にしないように
しましょう。 また、そんなに嬉しい応対をしてもらった経験があるんならそこから更に
お客様の為に喜んで頂ける応対をしましょう・・・」、そう結論づけました。
まるでドラマのように素晴らしい結果が待っていたことは言うまでもありません。

相手のため・・・とはいかにも日本人らしいなと今思えばつくづく思いますね。
しかし、そうした美談を語ろうとすると大きな問題がそこに潜んでいることに何度も
突き当たったのです。
悲しいかなあるときはそれが私の自慢話にしか聞こえない場合です。
なるほど・・・と思っても実感が湧かないのかそうした話が終るとすっとした感じになる
状況も何度か経験しました。
でも、それが人の心を動かす参考(どうき)につながるんならと何年も何年もすでに
色褪せた昭和の働く若者たちの話をし続けてきました。

いろいろありましたが、多くの肩透かしの中にもしっかり心で聞いてくれた若者にも
多く出会いました。
そんな心で居たときに波島にも会えたんだからその思いは決して間違っていなかった
と言えるでしょう。
血の通う人間だから味わえる人生の醍醐味は本当にたくさんありますね。

最近のニュースで子育て放棄で話題沸騰のあの若い夫婦は「心の持ち方」以外の
何者でもありません。
「可愛い天使」を殺してしまった罪。 あれは人間のすることではありませんね。
男の快楽だけで結婚し、連れ子に対する愛情など100%無かった訳ですから辛すぎる
ニュースでした。
殺してから謝られても絶対に遅いということです。

多くのこれから日本を背負う若者に、なんとか心ある人間に成長して欲しいと出来ない
なりにも決してあきらめずに頑張って来ました。
私が嬉しいことは、そうした意味でも本当に心の優しい女性に出会えたことでしょう。

教室を通じ、少しでも生徒さんたちへ何か役に立てること、そう思えばやることだらけです。

教室以外で何かして欲しいとは思いませんが、せめて教室や公演時くらいはしっかり
師匠をサポートして欲しい。
それは波島の為にではありません。 結果自分の為になることが後で必ず分かります。

私はそんな時、させない波島も悪いと思うことがあります。
しかし、その答えは違っていました。  掃除をやって・・・と言えばきっとやるでしょう!?
しかし、言わなくてもやれる人間になって欲しい・・・と思うんだそうです。
だから、やらなくても決して命令したり強要はありません。
つまり、自主性を観ているんですね。  やらないのは、気づかないかやらないだけです。
やるのは自分だから、やらない人にやりなさいとは言わないという論理です。
これは日舞の技術習得にも同じことが言えるようですね。
先生がお茶を入れる・・・・!! とんでもないことです。
これを許したら日本の伝統や文化の根源が揺らぎます。

それではここで問題です。
では、波島が若い時分にどうやって日本舞踊を習っていたか・・・です。
月謝・お礼・出演料など当たり前、舞台となれば最低でも50枚ちかくの入場券の割り
当て・・・となります。
彼女はここで多くのことを学んだようです。
「このままでは日本舞踊の衰退は免れない」、そこで極力日舞をやりたい人が負担を
少なくできるようにと「振付作品(ビデオ)」の制作に取り組んだのが独立後の第一歩
だった訳です。
狙いは的中しました。 最初1年ほどは極端に言えば1本も売れないほどでした。
私も波島に同行しカバンに作品を入れて営業に出かけました。
今考えると本当に当時が懐かしいですね。
100本も作った作品は事務所に山積み!!!  「これは商売にならない」
そこなんですね。 それでも波島は決して動じなかったから驚きました。

本人も食べていかなければいけなくて薬剤販売師なる資格を取得ししばらくはバイト
を続けたのです。
私はそこで初めて「ホームページ」なるものを立ち上げてその告知に挑戦しました。
私の営業からNHKのカルチャーセンターやホテルのディナーショー等々ひとつひとつ。

今から12年も前でしょうか!? 大手旅行会社からのインバウンド関係の依頼。
浅草で正式に本格的な「浅草を着物で歩こう」を企画し、それが大当たりしたのも今では
懐かしい話です。
現在、浅草には「浴衣のレンタル」なるお店が競合で毎日ひしめき合っておりますが、
波島はまったく動じません。
それで金儲けしよう・・・が無いからです。  実に不思議な人ですね。

そのうち、一人・また一人と日本舞踊を習いたいとする若者が表れて現在に至っている
という訳です。
先ほど、「金儲けの気持ちがない」・・・と言いましたがそこが波島たるゆえんなんですね。

みなさんはどこまでご存知かどうか知りませんが、日本舞踊のお稽古は基本、全て
先生(お師匠さん)の都合に合わせます。
ところが、波島教室は100%生徒の都合でお稽古の予定が組まれているといった具合
です。
中には、自分のお稽古が終れば先生も終わりと思っているくらいの人も居ないわけでは
ありません。  先生が大変だ・・・と思えば「ありがとうございました」や「先生後半も頑
張ってください・・・」の社交辞令くらいは絡んでくるはずです。
そうでないのが近年の傾向なんでしょうね! でも日々先生の方が「仕事が終わって
駆けつけるんだから偉いね~・・・」となります。
だから、波島教室へ通う生徒さんは幸せですよね。

そうでない人が激増!!!
このままだと「日本舞踊が消え失せる」!! それも日常茶飯事です。
この危機感は半端ではありませんでした。

一般の日本舞踊に通う概念が変わったと思えること。
波島がなぜここまで多くの支持を受け人気があるのかはその心根、つまり人間性だった
と断言できることを言いたかったんですね。

「自己中心的」な人間はスマホ等ネット社会に至っては本当に増えました。
スマホの出現で更に増長したように思います。
心に余裕が無くなったんでしょうか!? ご存知のように電車に乗っても殆どがスマホ
です。 不気味にさえ感じますね。

いくら時代が進化しようが、人間である以上「心」があるんですね。
この日本舞踊教室で若者を信じて優しく指導し続けている波島は凄いと思う!!

親の心子知らずと言いますが、教室の生徒さんは入会後まもなくしてその波島の心
に気づいてくれているようです。
表現の出来ない「何か」を求めて教室を訪ねて来た若者も少なくありません。

ご年配の皆さんに問題が無いのは少なからずそうした昭和の心のようなものを知って
いるからなんだと思います。

お弟子さんの中にはプロを目指す者も少なくありません。
私は、プロなら尚更「波島の心」を学んで欲しいと願わずにはおられません。
美しさは「形」ではなく「心」であることを学べたら通う生徒さんはそれだけで十分じゃ
ないでしょうか!?
波島の振付作品を見て学ぶことは「心」だということです。

私も波島も本気で当たっているからその人の嘘はすぐに見抜けます。
見抜いても尚教えたいとどうして思うんでしょうか!?
それは、プロであれば是非メジャーで活躍して欲しいと願い、一般の生徒さんであれば
この機会をきっかけに「幸せになって欲しいな・・・」と思うからです。

人間は人に支えられて生きているって本当です。
波島のそばにいて、彼女が日々どんなに感謝しながら生きているかは本に執筆したい
ほどの思いです。
人間(ひと)を大切にする心から素晴らしい作品が誕生していることは言うまでもありま
せんがこれが輝きとなりそれぞれの作品の美しさになっているんですね。

将来の夢、実現したい目標、若者にはその将来設計も様々です。
調子の良い人間は必ずその作品にその姿は表れます。 冷たい人間しかりです。
人に対する優しさや思いやりが感性となって、さらに磨き上げた心根が「センス」となって
作品に表れます。

芸事は特にそうですが、波島本人が「まだまだ私など・・・」というくらいこれで良いという
ことが無いんですね。
職人的に言えば芸も同じです。 「極める」ことへの執着心が技を磨き心を育てる。

こだわりがあっていい! こだわりはあった方がいい!
正しいこだわりの中に、やろうと決めたのなら「覚悟」をもって歩いて欲しい。

その覚悟もこだわりであって欲しい。
目先の完成を求めるのではなく、基本から「日本舞踊は何だ・・・・」と思えば、やらな
ければならないことだらけです。

2020年は東京オリンピックの年、波島振付作品はあと20本で「100本」となります。
実際には200数十本の振付ですが、ここで言う100本というのは映像化した作品の
数を指します。
「陽ちゃん、100本になったら是非100本記念(舞台)をやりましょう・・・・」と彼女を
取り巻くスタッフさんの声。
1本販売するのに必死だったころが本当に懐かしいですね。

それもこれもどこかに潜んでいた覚悟がずっと健在だったからかも知れません。

周りの先生に可愛がられ、多くの生徒さんに慕われてまもなく大きく花開くのかな!?
そう思えてなりません。

静かな想いの中に秘められていたものが「覚悟」だったことを知って頂けたら嬉しい
ですね。

3日間に渡り、長文「覚悟」に目を通して頂きありがとうございました。
お陰様で浅草雷門の教室は今日も笑顔でいっぱいです。

これからも是非応援してくださいね。

                         「覚悟」  完














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岡部俊雄

管理人 : 岡部俊雄
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