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 友だち以上 恋人未満 7

20分、30分と時間は過ぎます。馬鹿だな~・・・、そんなことある訳ないじゃない・・・!と自分の心に何度も言い聞かせるんですが彼女も喫茶店で動きません。誰か他の人と待ち合わせてるんだよきっと。そう思うことにしても私はそこから動けずにいました。本当に2年間待って彼女はここに来たんだろうか・・・?。私は一体ここで何をしているんだろう・・・。
時計は5時を過ぎましたが彼女は動こうとしません。何度も時計を見る様子は伺えるんですが誰も来ないということは本当に私に会うために来たんだろうか?
夕方近くになっても暑さで汗びっしょりです。
さすがに5時を過ぎた頃、「まさか!」とは思いましたが彼女の友だちの佐藤さんの電話(酒屋)を調べ、そっと電話機を手にしました。まるで待っていたかのように「お兄ちゃん!今どこ?」と叫ぶように彼女の声。「んんん?川崎の駅だよ!」。それからはもう彼女の泣き声で話ができません。「良かったねお兄ちゃん!美っこはずっとずっと待ってたんだよ!、もう2ケ月だねとか、あと3日だねって・・・、」
「美っこ綺麗になったでしょう・・・?」、返事のしようがなくなっている自分がもう何が何だか分からない状態でそこにいました。待っていたのか・・・・!何も言わない私を変に思ったのか「今日はどうするの?」とたたみかけます。
「佐藤さん!実は・・・」と本当の経緯を話しました。それでここにいる訳だから会えないんだ・・・と。「卑怯かもしれないけど、たまたま昨日そんな話を思い出してまさかとは思ったけど・・・」、それでも自分が彼女のようにこの2年間を過ごしていたわけではないので会うことはできない。勿論名古屋に現在付き合っている女性などいない。更に、ここまで私を想ってくれた彼女に申し訳ない気持ちがいっぱいすぎてどうすることもできない。そんな話をすると佐藤さんは「私が今駅まで行くから待っていて!」となんとか私を食い止めようと必死でした。彼女の気持ちを聞いてから私も涙でいっぱいでした。
「私と今日電話で話したことは絶対に彼女には言わないでください」が精一杯でした。今みたいに携帯電話があったならいろんなことで様子も変わっていたのかもしれませんが、私が勤務先を言わなければまったく連絡はとれません。
こんな素敵な彼女を連れて帰ったらみんなびっくりするだろうな!社会人になって更に美しく綺麗な彼女に少し動揺したことは事実です。
ごめんなさい!ごめんなさい!と電話を切ってからの私はもぬけの殻のようにぐったりしてしまいました。まだ喫茶店にいる彼女を確認するとコンクリートの柱に頭をぶつけ心から詫びました。私は付き合ってねと言って付き合ったわけではない。楽しい友だちとして、大切な友だちとして接していた若者の一人にすぎなかった。思わせぶりも一切なく子供みたいにじゃれあってきた相手だった。
私は彼女の住所を知っているのだから時期が来て自分にその気があるのなら連絡をしようかなどと考えながら名古屋行きの新幹線に乗りました。なぜ彼女に会わなかったかと言えば、まだ結婚とか恋人と一緒にいたいとする自覚がなかったのが本当の心でしたから。
結局友だち以上恋人未満だったのです。

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岡部俊雄

管理人 : 岡部俊雄
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