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 あなたへ  (映画:高倉健主演)

存在感と懐かしさ

先日、久しぶりに高倉健主演の映画を観た。
このところ芝居の稽古の関係で半年ほどずっとやくざ映画を観てきた(DVD)。その殆どが藤純子であり高倉健の映画。その他大川橋蔵や美空ひばり。
着物を着ての裾さばき等々昔の役者は実にその身のこなしが素晴らしいからだ。

ところが、当の高倉健はこのやくざ路線に相当迷い悩んだようだ。何年も何年も演ずるやくざに大きなマンネリを覚えたのだろう。
彼はそんなとき山田洋次監督に出会い、あの「幸せの黄色いハンカチ」に出演する。
この作品が大きな反響を与えたことは言うまでもないが、その頃から彼には不思議な存在感が漂っていた。
勿論、私はこの「幸せの・・・」を何度も何度も観た。本田美奈子の「ミス・サイゴン」は8回足を運んだが、「幸せの・・・・」は映画をテレビでも放映するため、またそれを録画したのでその回数は相当だ。

「幸せの・・・」はまだまだ高倉健のあのかっこ良さが十分残っていた。今回「あなたへ」の作品と聞いてポスターを見たとき大きな驚きを覚えた。精悍な顔つきは「老いたな~・・・」に変わり、今までのイメージからどんなお芝居を見せてくれるのだろうかと正直恐る恐る映画館に足を運んだのだ。
あの健さん!そういう期待したイメージが少なからずまだあったからだ。

「あなたへ」
心が優しく豊かになれたそんな時間だった。
いつもなら、乱暴者(やくざ)で自らが刑務所に入れられた作品ばかり。今回は立場が変わって刑務所の刑務官役だった。
さまざまな人の人生模様をはさみながら亡くなった奥さんの遺骨を妻の故郷の海へ散骨するまでのストーリーだが、一期一会の旅の中に観ている私たちも十分考えさせられる作品だった。

出会い・別れ・幾重にも重なる想いを降旗康男監督によって素晴らしい作品に仕上がっていた。
妻の故郷の小さな写真館に飾ってあった妻の写真。私が子供の頃もこんな写真館だった。
散骨の前に出会ったこの写真に、彼は一言「ありがとう」と言う。

伝えきれない想いがクライマックスに達した瞬間のように思えたとき、逆に画面に向かって「ありがとう」とつぶやく自分がそこにいた。
人の想いほど尊く大切なものはない。いつも不器用を演じてきた高倉健が、更に不器用さを自然に演じてみせた。
周りを固めた田中裕子、大滝秀治、余貴美子、ビートたけしの演技にも注目だが、いつまでも存在感を見せてくれる名優高倉健だった。
脇役の素晴らしさも語りたいのだが、まずは劇場へ足を運ぶべきだろう。
久しぶりに心の中はふしぎな満足感でいっぱいだった。
プロフィール

岡部俊雄

管理人 : 岡部俊雄
チーフ・プロデューサー
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